エピソード:昭和の御代、こんな体験をしました

個人会員 岩岡 弘人

  1. 海外進出: 自動車車体組立を生業としてきたわが社に、南米工場単独立ち上げの計画が起き、「これからは国内でも部長級以上の会議は英語でやる」との社長命令が下りました。(まるで漫画の様ですが……)
       
  2. 売込み: そこへ「実践英会話教育」を看板に掲げた売込みの手紙が工場の英会話教育プログラム責任者の私の所に送られて来ました。最近までイギリス在住で、国産某車の現地生産立ち上げに、ご夫婦で携わって来られたとのこと。しかし、この種の仕事の特注や契約に経験の浅い私は、グズグズと「ことわる理由」探しに時を費やしてしまいました。
     
  3. カトリック: お話変わって、当時私は毎日曜日、横須賀へ帰ってカトリック教会のミサに預かっていました。ある日曜日の朝、私は「どおーしても」という急用が出来て横須賀帰りを断念し、急いで工場のある御殿場教会のお御堂の最後列に潜り込みました。
     
  4. 奇跡的な出会い: すると私の後にドドドッと駆け込んで来られたのが、白人男性と日本人の奥様のカップル。ミサの合間には問わず語りに、彼がカナダ生まれのイギリス人で・・、夫婦で・・、5年ほどイギリス在住で…と例の手紙の通りのお話。私が「ひょっとして私達に手紙を下さいました?」と言ってから名乗ると、お互いに奇跡的な出会いに驚きと感謝! です。
     
  5. 幹部教育: 彼らに出会って1時間余りも話をして、私の危惧は一気に氷解しました。彼、デイヴィッド・P.氏の発音は、横須賀の米兵たちの会話と違って実に美しく響いたものです。
     早速工場長以下に面接・人事上の手続きを経て、翌月から部長級以上8名を対象の英会話教室の開催に至りました。
     P.教室を覗いてみると、丁度何かの会議を始めるところで、議長役の某部長が英語で開会の発声中でした。それに続いて別の部長が同じ内容を発声します。私は「え? いきなり会議の仕切りの練習を?」と驚いたのですが、このレベルのメンバーなら会議室での他者とのやり取り等が仕事の中心、「ならばそこに特化した内容・教材を用いるのがベストな進め方」という考えだと理解出来ました。
     
  6. 現場管理者教育: 現場を担当する工長・組長クラスの場合は? と考えた時、外部の人を工場内に案内するパターンを思いつきました。
     そこで、私自身が訪問客になって連れ回してもらい「あの機械は何? どんな働きをするの? あれが壊れて一番困るのは?」等と、様々な機械について受講生に同じ問いかけを(勿論英語で)繰り返したものでした。生徒さん達は冷や汗びっしょりで応えてくれ、こうして南米の工場は立ち上がりました。
     P. 氏流と、それを模倣した私のやり方が功を奏したのかどうかは不明です。確認する前に、私の定年が来てしまったからです。しかしながら、社内の特定の業務にフォーカスした方法で会話教室を組み立てて行く方法はかなり効果的だったろうと思っています(自我自賛)。

 

  


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