シリーズDX化を進めたいけれど その4

シリーズ 「デジタル思考で目指すDX」

  シリーズDX化を進めたいけれど その4
~どうすればよいのか?
~どのくらいの投資が必要か?
~DX化の意味は?

DX/デジタル研究会 伊澤 俊夫

2.デジタル化とは

 現在、生活で使われている道具や身の回りで触れることなど、社会の多くのものにデジタル技術が活用されている。特にコンピュータや通信関連技術、工場の自動化装置や社会インフラ管理などが急速に従来のアナログ技術から置き換わってきている。戦後生まれの第1次団塊の世代では学校教育はほとんどアナログ技術で学んだ。というか身の回りのほとんどがアナログ技術で構成されていた。日本は戦後復興から米国の技術を吸収し、高度経済成長の時代に入りGDP第2位の経済大国となった。

 米国の技術を活用して、それを量産する世界の工場として「真面目に、勤勉に」働く、日本の伝統的な文化の中で構築した「職人的モノづくり」=アナログ的思考で構築したものであった。特にコンピュータ技術や通信技術では、デジタル技術の先端を追求するものであったが、米国が大型、高性能を追求する中で、日本は小型化や廉価品の生産といった国際分業の形が出来上がった。しかしその後の高速通信技術の進歩により、文字・文書などの情報をコンピュータ処理して、活用する、情報処理技術と合わせて、2000年以降急速にデジタル技術の活用が広がった。

 人類が他の動物との違いにおいて、多くの要素があげられるが、仲間との意思・情報の交信のために、「咆哮」「臭気」などではなく、「記号」や「絵画」を書き残し、後に「文字」「文書」として多くの情報を伝え、共有化することで、文化を構築してきた。しかも、近年この情報伝達の技術として、デジタル技術により、高速・大容量の通信が可能となった。ちなみに、江戸時代の通信は、江戸から京都まで2~4日かかっていた。

 ② 文字・文書などのテキスト形式技術
 最近では、スマートフォンやPCでメールを発信したり、文章を作成してSNSに投稿する光景は日常的である。また、報告書や議事録、日記や小説、文字とイラストや写真などをデザインしたチラシやカタログ作成といったテキスト形式の情報をコンピュータに入力するには、キーボードを使う。キーボードはアルファベットを基本としたコード化とその他の特殊キー(Sift,Function,Ctrl、Tab・・)を使う。アルファベットは26文字であるが、日本語は常用漢字の範囲で2,136字あるため、情報入力も極めて作業性が悪い。

 テキスト形式の情報を効率よく入力する方法として、1951年にOCR(Optical Character Recognition)光学文字認識の技術が発明された。印刷物からテキスト形式データを画像として読み取り、この画像から、文字認識してテキスト形式データに変換することで、高速で大量なデータの取り込みを可能となった。しかし、日本語ではテキストデータの種類が多く、書体もバラエティーに富んでいる。従って、OCRの読み取り精度にかなりの影響があった。
 しかし、近年のAI技術の活用で、OCR処理を行うプログラム=OCRアルゴリズムがより高度な計算を行うことが可能となり、今後のOCRのトレンドとしては【AIを活用したOCR】やディープラーニング技術といったキーワードが増えていくことになる。

 パーソナルコンピュータは、1970年代に普及し始めた。本メールマガジンの「コンピュータの歴史(2) コンピュータの世代」で紹介されている。マイクロプロセッサMPUは、コンピュータの頭脳の部分で急速に小型=高密度化、高性能化の競争が進んだ。コンピュータは演算と論理機能を使って、所定のプログラムを実行する装置で、その装置の処理能力はやがて人間の能力を超える状態になってきた。数値演算に特化したものは卓上電気計算器となり、文書作成に特化したモノは、ワードプロセッサーであった。これらのツールが日本の高度経済成長に貢献したデジタル技術の文書作成に特化した専用機やソフトウェアであった。

 東芝が業界初の日本語ワープロ「JW-10」を発売し、続けてシャープや富士通なども製品を発売し1980年にはNECが「NWP-20」を発売し、日本語ワープロ市場に参入した。ワープロ専用機やワードプロセッサーは、アルファベットよりはるかに文字数が多くまた、漢字などの象形文字の要素までも活字データとして活用することで、文書作成に大きな助けとなり、その後の情報処理の発展に寄与している。
 これは、東芝が発明したかな漢字変換方式という日本語入力方式とその後の改善によるもので、現在では、日本語以外の象形文字の入力にも応用されている。

 ワープロが身近な道具として使われることで文字情報がデジタル情報として、記録されることになった。しかし機種が変わったり、同一の機種でも年代が違うなどの理由で表示できないなどの問題があった。当然メーカ違いの場では、読み書きが不可能である。

 テキストファイルは文字情報のみを記録したファイルで、特定のアプリケーションに縛られない。テキストファイルを便利に使うため、テキストエディタを導入しMarkdownなどの形式で文章を書けば、内容が分かりやすくなるし、見栄えよく表示してくれるツールもある。何か文章を書いて残しておきたい場合、理由がなければ Wordを使う必要はない。テキストファイルで充分であることが多いのである。

 このように、収集された文字・文書データが膨大な情報として活用される時代になった。

【続く】


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