マーケティング入門:第1回 マーケッティングと営業

サラリーマンOBが独自の視点で解説する
マーケティング入門

第1回 マーケッティングと営業

 個人会員 金野 成男

 マーケッティングという言葉はビジネスの世界では耳タコになるくらい出てきますが、イノベーション=開発部、マーケッティング=営業部といった感じで営業部門にお任せの所が多い、特にB2Bの企業では多い様に感じます。
 それでは、営業とマーケッティングとはどう違うのでしょうか? 下の図はマーケッティングと営業、およびイノベーションの関係について、模式化したものです。

マーケティングと営業
マーケティングと営業

 この図は実はデジタルマーケッティング(マーケッティングオートメーション)での顧客層別の考え方を援用したものです。図のオレンジの四角は市場(顧客)で、左から顧客が商品を知り、購買に至る過程を示しています。この過程において、③商談から④受注に持ち込むのは当然、営業の分野ですね。基本的に営業は商品から出発し、顧客から引き合いが出てからの受注活動であり、一方マーケッティングは顧客のニーズから出発し、ニーズに合った商品を紹介し、顧客の商品への理解、関心を深め、購入に向けてリードする活動と言えます。
 ざっくり言えば上流がマーケッティング、下流が営業となりますが、多くのB2B企業ではすべてを営業部門が担当しているのではないでしょうか。私も営業時代開拓営業とか飛び込み営業をしたものです。一方、B2C企業ではかなり下流までマーケッティング部門が行い、実際の商談は代理店が担当しているところも多いと思います。アマゾン、楽天などのe-コマースではさらに進んで、顧客がアプリを通じて購入する、営業の不要なビジネスモデルが成立しています。
 このように、営業とマーケッティングの線引きは難しいのですが、ポイントは視点の違いに有ると思います。営業が商品にフォーカスするのに対し、マーケッティングでは顧客(のニーズ)に視点をあてます。
 顧客にフォーカスすることで、上図のように顧客ニーズから商品のイノベーションを起こしニーズにマッチした新商品を提供するマーケッティングとイノベーションの循環が生まれます。「事業は2つだけの基本的機能を持つ。それがマーケッティングとイノベーションである。(P.F.ドラッカー「マネジメント」より)」と言われる所以です。

 次回から、マーケッティングについて事例や手法などを概説していきます。
 なお、マーケティングについての本考察は、私の38年間の営業・企画での経験を踏まえての私見です。

                                           以上

 


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