コーチング:No.5 「自己イメージとセルフトーク」

コーチング・入門から実践まで

No.5 「自己イメージとセルフトーク」

個人会員  長嶋みさき

 全ての人が自己イメージというものを持っています。 自分がどの様な人間であるかという概念は、他人があなたをどの様に見ているか、どう扱うのか、そこに自分と他人を比較した結果を組み合わせたもので出来上がります。

 比較については、人によって他人と比べようとする度合いが強い人と弱い人がいます。優越感や劣等感に大小があるのも同様です。他人からの影響を受け易いか受け難いかという点も大きく関わってきます。今の状態が好ましくなければ、変えていくことができます。

 自己イメージを組み立てる材料は、子供の頃から自分が経験してきたもので、そこでは自分にとって重要な人達からの反応が大きく影響します。幼少期には親兄弟、ご近所、先生や同級生から始まり、長じては恋人や配偶者、上司や尊敬する人物など、殆どが重要で近い存在です。

 そして大事な相手であればあるほど大きな影響を受けます。その結果として、周囲にどの様に反応するかで、自分はこういう人間なんだ、という像が作られます。当然のことながら、そのイメージも自分で意識的に作り変えることが可能です。

 私に相談に見える方の中には、人の目が気になる、相手の反応が怖くて言いたい事が言えない、という悩みを抱える人がいます。つい周囲に合わせて丸くおさめようとし、その結果意見のない人、何を考えているか分らない人という評価が下されやすくなります。この場合は自己イメージがあやふやになっていて、自己評価が低い状態と言えます。

 例えば、卑下される様な環境に囲まれたり、自尊心の低い人達に育てられたりすると、人はせっかく持って生まれた能力や可能性を発揮することが難しくなってしまいます。それは「自分はこういう人間だ」と決めつけた時点で、それ以上のパフォーマンスができなくなるからです。

 だからこそ、自身の信念=思いり込みをできるだけ正確に観察し、目的や夢を阻むものを取り除き、良い思い込みを築き上げて能力を引き出すことが大切になります。それには「セルフトーク」という手法が有効です。日本語で言う独り言とは異なり、声に出さない内的なものですが、とても強力なものです。

 意識・無意識に関わらず、私達は一日中自分に話しかけていて、その多くが思考という形になります。セルフトークは自己イメージを作ったり壊したりできるので、普段頭の中でどんなことを喋っているかに気付いて、意識化し、望ましい形にすることが大変重要です。

 どんな人間関係を構築するか、どんな収入を得るか、どんな分野で成功するかといったことにも影響を与えます。つまり人生におけるあらゆる場面に影響してきます。脳と無意識の働きは不思議なもので、自分には何も良い事が起こらないだろうと思えば、良い事は起きません。無意識が思い込みを証明しようと働くからです。

 心の声に注意してみて下さい。もし他人や自分をけなしたり、見下したり、厳し過ぎる批判をしている時は、意図的に中断して、ポジティブな言い方に変えてみて下さい。 

 ご自分の良いところを多く発見し、実現への信念を強くし、新たな自己イメージを作り上げて頂ければと思います。