読書のすすめ
ミステリー小説のジャンル分けと『深夜プラス1』
個人会員 佐々木興吉
ギャビン・ライアル著 鈴木恵訳 (株)早川書房
今月はミステリ小説について紹介します。筆者はミステリ小説を愛読していますが、愛読してきたものにはスパイもの、ハ-ドボイルド、冒険小説、警察・刑事・探偵事務所もの、時代ものなどがあり、ミステリマガジンなどで2025年度ミステリ大賞などという具合に紹介があるものからおもしろそうなものを選んで読んでいます。ミステリマガジンでは海外編と国内編という年度ランキングで1位から10位という紹介です。
ミステリ小説のジャンル分けについて
ところでミステリ小説が全体としてどういう区分けになっているのかよく分かりませんでした。ミステリ小説のジャンル分けとして理解するのに丁度良いものをHatena Blogで見つけました。それが下図です。

ミステリ小説に限りませんが、私の読書の傾向はおもしろいものを見つけるとその作者のものを次々探して読みます。その意味ではシリ-ズものは楽しいですね。例えば古くはブライアン・フリ-マントルのチャリ-・マフィン、次回新作を期待しているパトリシア・コ-ンウエルのケイ・スカ-ペッタ、マイクル・コナリ-のハリ-・ボッシュシリ-ズなど枚挙に暇がありません。
また、国別の読み方というのもあります。近年ではスウェ-デンを代表する北欧ものがおすすめです。アンデッシュ・ル-スルンド、亡くなりましたがヘニング・マンケル、スティ-グ・ラ-ソンなどこちらも多数あります。
読み進め方としてはGoogle Earthで作中の都市,街,通りなど場所を観ることも楽しいです。作中の描写から想像した風景、景色とは実際は違うことが多いですね。この街や通りを作者はこのように表現するのかと感心することしきりですが色あせることもあります。写真を見ないで想像の中に留めておくというのもアリですかね。
SF小説は苦手ですが時代小説のハ-ドボイルドもあります。愛読の藤沢周平。いってみれば大体はミステリといってもいいのではと思います。ハ-ドボイルドは「檻獣医立花登」シリ-ズ、「用心棒日月抄」、警察・刑事ものは「彫師伊之助捕物覚」など。
推理小説もアンソニ-・ホロヴィッツの「カササギ殺人事件」など単なる謎解きは私にはおもしろくありません。味わいのあるというか読後に余韻のあるものが多くのファンを獲得しているように思います。
ミステリ-の古典『深夜プラス1』

ということで今回はミステリ-の古典、英国 ギャビン・ライアルの『深夜プラス1』新訳版です(早川書房)。ジャンルとしては訳者・鈴木恵氏はあとがきで冒険小説と言っていますがハ-ドボイルドですかね。以前、といってももう40年以上前ですか、別の訳者で読み始めたことがありますが読みづらくて途中でギブアップしたままになっていました。今回、たまたまこの新訳版を手にとってみましたが読み易いですよ。ミステリは翻訳者が大事ということがもう一つのポイントと思います。例えば別の小説で、原文の「heavy rain・・・」。翻訳文では「しのつく雨・・・」でした。「しのつく」という訳は、そういう言葉がある日本語のすばらしさというか訳者の力量ですかね。ミステリ小説はまだまだ話が尽きません。機会をいただけるならば、またさまざまなアングルから本格ミステリを紹介をしていきたいと思います。
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