経理知識:No.1 経理こと始め

新入社員のための経理知識

No.1 経理こと始め

個人会員 仲田 清

 多くのサラリーマンにとっては,経理は経費精算でお世話になるけどけむたい存在で、まして経理書類や財務資料などは縁のない世界とおもっているのではないでしょうか。

 私も入社以来、設計、QA、営業、駐在員、開発といろんな部門を廻りましたが、経理と人事には縁はないと思っていました。
 ところが、研究組合の研究部に出向して1年ほど経ってそろそろ任期終了と思っていたら、突然研究組合内で管理部経理担当次長に異動になりました。この背景には参加企業間の微妙な主導権争いが有ったのですが、右も左もどころか、「貸方」も「借方」の区別もわからない私が、ともかく都銀出向者の後任経理担当になったわけです。実際の伝票処理は経験豊富な担当の女性がやってくれるので、予算・決算関係が主な仕事でした。
 それから約10年後に経理と再び縁が生まれました。研究組合の経理で1年ほどして会社に帰任し、更に紆余曲折を経て事業部子会社の企画管理部長になり、経理だけでなく人事も統括することになりました。
 2003年から2011年まで8年間、企画管理部長として、経営の立場から経理・会計を眺めてきたわけですので、この経験を通して見えたものをお伝えすることは、営業や技術などの部門の皆さんにも、数字を通して会社をみる為の参考になるかと思います。

☆3つの“T” = 経理に必要なこと

 正しい経理に必要な3つのTがあります。

  • Transparency:透明性
  • Traceability:追跡性
  • Trust:信頼性(信用)

 説明するまでもありませんが、経理は信用が財産です。そしてそれを担保するのが(データの)追跡可能性であり、(情報の)透明性です。品質保証と一緒ですね。

☆経理・財務・会計の違い

 経理部門の仕事は大きく分けると、経理・財務・会計の3つの機能があります。その違いをMichrosoftのAIツール「Copilot」に聞いてみましょう。
経理、会計、財務はどれも企業のお金を管理する重要な役割ですが、それぞれ異なる視点や目的があります。

  1. 経理(Bookkeeping)
    • 日々のお金の流れを記録・管理する業務です。
    • 具体的には、請求書の処理、支払い管理、帳簿の作成などを担当します。
    • 主に「企業のお金の動きを正しく記録する」ことが目的です。
  2. 会計(Accounting)
    • 経理で記録されたデータをもとに、企業の財務状況を整理・分析する業務です。
    • 損益計算書(P/L)や貸借対照表(B/S)の作成、決算処理などを担当します。
    • 企業の財政状態を正しく把握し、税務や財務判断の基礎となる情報を提供します。
  3. 財務(Finance)
    • 企業の資金調達や運用を戦略的に考える業務です。
    • 例えば、銀行からの借入れ、株式発行、投資戦略の立案などを担当します。
    • 企業の資金繰りを管理し、成長のための資金計画を立てることが目的です。


 つまり、経理は記録、会計は分析、財務は戦略という関係になっています。それぞれが連携しながら企業の経営を支えているんですよ。興味深いですよね!
 簡単に図で表すと、以下のようになります。

経理事始め

 このシリーズでは、上記3つの機能の内、会計に属する財務諸表から見えてくるものを一緒に勉強していきます。

以上

(おまけ)事業部では、上記3つの機能のうち、経理の一部だけをやって、メインは本社の経理・財務部門がやってくれましたが、子会社になると規模は小さくとも決算までフルパッケージで完結させる必要があります。また規模が小さく全体がよく見えるのと、本社からのお目付役たる監査役に厳しく鍛えられたおかげで経理の基本をなんとか理解することが出来るようになりました。