遍路鳥類図鑑
N0.1 キバシリ
@十二番札所 焼山寺
個人会員 仲田 清
八十八箇所の霊場を巡る四国遍路、阿波鳴門の一番札所・霊山寺から土佐、伊予、讃岐八十八番・大窪寺まで、全行程約1,200km、歩くと40日から60日かかります。
その道中は、山あり谷あり、川あり海あり、街あり村あり変化に富んでおり、今回はその中で出会った鳥たちを、順打ち注しながらご紹介したいと思います。
(注:一番札所から番号順に時計回りに参拝すること)
四国遍路のスタート地点の一番札所・霊山寺は鳴門市北西部にあり、近くにはコウノトリの営巣地があります。コウノトリは行動範囲が広く同じ個体が兵庫県でも観察されているそうなので、残念ながらその時は徳島には不在でした。
一番から徳島平野北辺を西に上り、十番切幡寺から南下、四国三郎・吉野川を渡って十一番・藤井寺まで約36㎞を2日間かけて歩きます。翌日の遍路最大の難所といわれる十二番・焼山寺道に備えて、藤井寺近くの民宿で足休めします。
焼山寺山8合目の焼山寺までは12km強、峠を二つ超えて左右内の部落から最後の登り、早い人で6時間、遅い人で8時間かかります。お参りを済ませて茶店でウドンと思ったら、今日は奥さんが里に下りていてお休みでした。ここのウドンは美味しいのに残念。

さて、山門を下り参道を右折し杉林に差し掛かると、杉の幹をらせん状に走りまわる怪しげな影に気が付きました。初めて見る鳥でしたが、キバシリという名前が頭に浮かびました。大急ぎでデジカメを取り出して撮った何枚かの1枚が右の写真です。
残念ながら、走るスピードと神出鬼没ぶりにピントが合っていませんが、図鑑でキバシリであることを確認できました。
鳥の専門的な説明は「日本の鳥百科」(サントリー提供)の解説が分かりやすいので、同サイトのご了承を得て以下に転載しました。これからも紹介する鳥の解説は同サイトから転載いたします。
木の幹を這い回り首をかしげて餌探す
全長13.5cm。小さな細身の小鳥。背は黄褐色地に白点や黒点があります。腹は白色。尾も長め。くちばしは細長くて湾曲しています。木の幹に縦に止まり、樹皮の間や割れ目にひそむ虫や虫の卵などを食べています。幹の下の方からラセン様に餌をさがしながら上に登り、次の幹に移動する時には再び木の下の方へ行きます。日本では四国以北の亜高山帯針葉樹林を主な生息環境にしています。北海道では平地にも針葉樹林があるので、平地や低山地にもすんでいます。「ピチョ ピチョ ピイピイピイ チーチー リリリ・・・」と次第に早口になるさえずり。

ラセン状に駆け上り、次の木に移ってはそれを繰り返すさまは、紡錘形のいかにも早そうな姿と相まって、キバシリの名前に恥じません。おかげさまで遍路最大の難所を超えたご褒美を頂きました。
この後、鍋岩の部落までひたすら下り、健脚の人は峠を越えて一三番大日寺への近道を目指しますが、私は左右内川に沿ってさらに神山温泉を目指して下ります。
この神山温泉のある神山町は、過疎対策の「神山プロジェクト」や「神山まるごと高専」で有名です。徳島県も人口減少に苦しんでいるものの、この神山町の取り組みや、もう一つ山を越えた上勝町の「葉っぱビジネス」や「ゼロウェイストタウン」などユニークな取組でがんばっています。
以上