第3回クラスター経営研究・懇談会 報告(平成25年11月)



第3回クラスター経営研究・懇談会 報告


第3回クラスター経営研究・懇談会が下記のとおり実施されました

題目: ニッチ産業を行く(測量機の修理、レンタル)
話題提供者: 株式会社 ハイ測器 代表取締役社長 本田 徹氏 
日時: 平成25年11月19日(火) 17:30~20:30
場所: 産業交流プラザ 第4会議室
参加者: 法人会員 6名、個人会員 11名

 経営上の課題や悩みなどの懇談を通じて、課題解決や地域経済活性化のヒントを得る狙いで開催されており、ひと仕事の終わった頃、缶ビールとサンドイッチなどを飲食しながら和やかな雰囲気で始まった。


まずは新人紹介

 今回の話題提供者は、(株)ハイ測器の本田 徹社長さんだが、初めに新しく入会された会員の自己紹介が行われた。
 法人会員の(株)佐藤船舶工業の佐藤 仁社長さんは、会社の設立時は住友重機械工業株式会社の下請けで船舶造修業であったが、旬な仕事を求め、その後ソフト開発や原子力関連施工工事、施工管理など業容を拡大しているとの自己紹介があった。
 個人会員の槌谷 祐一氏は、化学専攻で企業では長らく、研究開発、製造管理などに従事し、後半品質管理、中小企業さんのコンサルタントを経験した。ISO関連業務や、業務改善等でお役に立ちたいとの自己紹介があった。


起業の経緯

 話題提供者の本田社長さんは、光学機器メーカーのニコン(株)のOBで、ニコンでは製造・開発・設計を経て営業部に従事していた。自社製品の使用される状況を見てアフターサービスとユーザーに密着した事業の必要性を痛感し、1977年45歳で起業を決心したとのことである。


事業と経営哲学

 会社案内を資料として、概要、事業内容、特徴、設立時の苦労や、日常こころがけていることなど経営哲学を披瀝して頂いた。

 最初はニコン指定サービス店(測量機、検定、修理)としてスタートしたが、その後事業を測量機の修理・レンタル・販売・その他に拡大したユニークな会社である。
 測量機器が使用されるのは土木建設関係が多く、機器の使用環境は悪天候、粉塵など高温、多湿など苛酷なもので度重なる機器の保守・校正*1)などが多発しユーザーにとって高い保守コストが問題であった。そこで本田社長さんはメーカー時代に得たノウハウを生かし測量機器販売、修理、レンタルに特化し高品質・廉価なサービスとコストダウンを掲げて事業を行っている。
 信頼性確保の意味では、当初ISO9001認証取得と日本測量機器工業会のJSIMAの認定を受けた。しかし現在ではJSIMA認定で顧客の信頼を確保できることが分かり、更新費用も勘案し、ISO9001の認証継続は中止した。また、校正設備として、高性能コリメータを装備した。
 当初ニコン指定サービス店としてスタートしたが、手数料が想定外で厳しく経営に苦労したが、マネージャー時代にノミニケーションで信頼を培った元部下や同僚達が何かと支援してくれ、経営は徐々に安定化していった。昨今の若い人達ではノミニケーションの頻度が少なく、ノミニケーションによる人脈づくりは大切と思っている。

 精密機器のレンタルなので新規顧客については信用調査も大切。当初機器をレンタルした際、雲隠れされ、持ち逃げされたケースもあった。また遠方への輸送になることが多く、信頼性確保のため、運送業者さんは、輸送品質を考慮した選定が重要である。
 地方の支社としては、九州は福岡ではなく、熊本県の上天草市にある。理由は親から譲り受けた別荘を利用している。余談として、そこではボートを所有しているが、船底に藤壺が付着し困っている。良い付着防止剤が開発されれば、市場は大きいなど・・・クラスターで開発は如何ですか・・・等の提案もあった。

*1) 校正: 科学測定においては、物差しや秤、温度計、圧力計などの計器・測定装置の目盛と標準となる計器・測定装置の目盛との差を測定することをいう。この場合、較正と表記されることがある。また、広義では計器・測定装置の目盛りを正しい数値に合わせるという意味で使われることもある。
 標準器による校正を受けた測定器を用いて、適切な対象を測定し、その値付けを行うことによって、別な標準器とすることが可能である。当然、その標準器によって更なる校正を行うことができる。このように校正は、厳密に定義された国家標準などをおおもととし、測定器と標準器とを介して、段階的に連鎖する測定の体系を構築するものである。この校正の連鎖をトレーサビリティと呼ぶ(出典:ウィキペディア)。


会員の自己紹介

 メインテーマ終了後は、新入会員のため、各法人会員、個人会員からそれぞれユーモアを交えての紹介が行われた。なお本田社長さんから“越の寒梅”の差し入れがあり、お酒が入って一層盛り上がった懇談会となり、予定時間を大幅に超過し、20時半ごろお開きとなった。

(槌谷 祐一 記)


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