謹賀新年

外国語で文章を書くとき、ほんの一言が大変な意味の違いを引き起こすことがあります。このコラムは海外事業部会のメンバーが経験をもとに連載します。
Happy / A happy new year!

 あけましておめでとうございます。

 今回は冠詞のない “Happy new year!” と、冠詞のある “A happy new year!” です。
 一昔前は日本では “A happy new year!” が主流だったようですが、今では “Happy new year!” のようです。市販の賀状やクリスマスカードの “Merry Christmas!” に併記されるものも “A happy new year!” は少数派になりました。
どう違うのでしょうか。冠詞の “a” に注目したいと思います。前回も登場頂いたピーターセン先生の本によると、“a” を書いた人の心は、まず「ある単位を持つ、数えられるもの」を言おうという気持ちがあるからこそ、そのあるものの一つを表す言葉、つまり “a” という言葉が最初に出てきた状態だと教えます。そこでその中の一つとは「ある幸せな新年」ということになりますね。しかし「一つの幸せな新年」で終わっては挨拶にもなりません。考えられるのはもともと “Have a happy new year!” (良い一年をお迎え下さい)であった文章の “Have” が省略されて “A happy new year!” となったのだと考えるとつじつまが合います。

2013年正月の年賀はがきの例


 “Happy new year!” はどうでしょうか。冠詞のない単数形の “new year” ですから一つ二つと数える年ではなく、「新年というもの」を表していると思えます。「幸ある新年」を挨拶の言葉にしているようです。考えて見ると挨拶や呼びかけに “Good morning!”、“Good evening!”、“Good night!”、“Happy birthday!” などがありいずれも “a” がついていません。新年には、やはり “Happy new year!” の方が多数派と思えます。
翻訳をやっていると、このようなことが年初から頭の隅に引っかかって困っております。
では、Have a nice year!  

(ZO)


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