YRP水辺公園のアヤメ

 YRP事務所からの帰りに、車は水辺公園に向かった。

あやめ
水辺公園のアヤメ

 道路脇に車を止めて公園の中に入ると、すぐ近くの木陰にアヤメの花が咲いている。高い茎の上に大きな網目模様の花をつけている。
 暮春の濃くも薄くも緑一色の中の清涼剤のように目に留まったような気がする。しかし、アヤメの季節にはまだ早い。

 いつからここにあるのだろうか。ここにあったという記憶がない。

 ところで、いずれがアヤメかカキツバタ。何度か調べているが思い出せない。アヤメ、カキツバタ、ハナショウブのいずれもアヤメ科の花だという。外側に垂れ下がった花びらに網目模様があるのが特徴で名前の語源という。しかし、カキツバタやハナショウブには網目模様はない。また、アヤメは陸上、ハナショウブは湿地、カキツバタは水辺または湿地に植生する、という。

 そこを後にして、新緑の匂う池の周りの遊歩道を周回して、新緑の山道に踏み入る。よく晴れた暮春の新緑の中で、森林浴をしながら人目もなく一人静かに歩く。すると、ホーホケキョの一声。

鶯にほうと息する山路かな (服部嵐雪『猿蓑』)

 この句は早春の句といわれるが、あと十日もすれば4月尽。それでも違和感はない。不思議な句である。惜春鳥は春を惜しむように声を高鳴らせて精一杯鳴くのであろうか。そんなことを思いながら周回を続けていた。

(奥谷 出)


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