調査レポート
生成AIの業務活用に関する実態調査
2025年8月25日
DXデジタル研究会 槌谷祐一
近年、ChatGPTやCopilot、Geminiなどの生成AIが急速に普及しつつあります。
すでに一部の企業では業務効率化や人手不足解消の手段として活用が始まっていますが、導入にあたっては課題や不安も指摘されています。そこで本調査では、生成AIの現状の利用状況や課題、期待される効果について、実際の企業へのアンケート結果をまとめました。
■ 調査概要
- 調査期間:2025年7月23日~8月1日
- 対象企業:製造業6社、印刷業6社、建設・保守業2社、金融業1社 計15社
- 企業規模:従業員100人以上4社、20~100人6社、20人以下5社
■ 主な調査結果
- 生成AIの認知度:
87%の企業が「名前も内容も知っている」と回答。大多数の企業において認知が進んでいます。 - 利用経験:
「業務で利用中」33%、「試験的に利用」27%と、約6割が何らかの形で業務に導入済み。個人利用のみ20%、未利用20%と二極化も見られます。
一方、Geminiによると、2025年春時点で企業導入率56%、売り上げ1000億円以上の大企業では87.6%が導入済み。個人利用調査では27%、(中国81%、米国69%)。
利用しない理由は、「必要性を感じない」「魅力的なサービスがない」が上位を占め、日本社会特有の慎重さが表れています。
- 業務の現状と課題
時間がかかっている業務として、「企画書作成」「見積書作成」「会議議事録」「顧客対応メール」が上位。
経理ソフトや勤怠管理、生産管理ソフトなどデジタルツールは導入されている一方、「ITに詳しい人材は少数」46%「いない」33%と、社内のスキル不足が課題です。 - 生成AIの活用分野
文章作成(メール・ブログ・企画書等)、社内資料やマニュアル作成、プログラミング補助、顧客対応など幅広く利用されています。
Geminiでは、情報検索・分析(市場調査等)、アイディアだし、コード作成・開発支援等にも活用されています。 - 期待される効果
最も多かったのは、「作業効率の向上」(11社)、次いで「書類作成の自動化」(8社)、「人手不足補完」(7社)。知識共有や教育支援への期待も寄せられています。 - 懸念・課題
「情報漏洩やセキュリティが不安」(6社)、「操作が難しい」(4社)が中心。社内での理解不足や効果の不透明さを懸念する声もありました。
Gemini調査では、ⅰ)ノウハウ不足:54%が「使いこなせていない」ⅱ)ハルシネーション:誤情報生成による信頼性低下 ⅲ)著作権・情報漏洩リスク:35.5%が著作権侵害懸念 ⅳ)人材不足:9割の企業が「生成AIの専門人材が不足」と回答。等が課題として挙げられていました。
- 導入への意欲
「試行的導入に興味がある」47%、「条件付きで検討」47%と、約9割が前向きに関心を示しています。
「積極的に検討したい」47%と「様子を見ている」47%で拮抗しており、今後の動向が注目されます。
■ まとめ
今回の調査から、生成AIはすでに約半数の企業で業務利用が始まっていることがわかりました。
主な活用分野は文章作成や資料作成など定型業務であり、効率化や自動化への期待が高まっています。一方で、情報漏洩や操作習熟といった課題も明らかになりました。
企業規模や業種を問わず、生成AIは「導入を検討すべきテーマ」として浮上しています。今後は試験的な導入から実運用へと進める中で、セキュリティ対策や社内教育の整備が重要なカギとなるでしょう。