「品質」について考える
企業支援G 伊澤 俊夫
はじめに
2000年頃から世界のグローバル化が進んできました。技術的にはデジタル化、高速通信技術の進歩により情報化が一気に進み、世の中は、モノからコトへ、そして多様性を求める状況となり、品質に対する考え方も大きく変わろうとしています。そこで改めて品質に関わる考え方と取組について、「温故知新」従来の活動と今後の取組み方についてまとめていきたいと考えました。
多くの専門家や先輩諸氏がいる中でおこがましいことですが、やはり日本のモノづくりを支えている多くの中小規模の企業では、若手の作業者が品質について考え、取組み方について学ぶ機会は少なく、またベテランの作業者もデジタル技術、AI技術を活用した新しい取組みに挑戦していくには、企業の中での経営者の理解と推進力が必要となります。
テーマが大きいため、今後シリーズ化して進めていきますが、概ね時代の変化に合わせて、以下の区分で進めていきます。途中で、AI(ChatGPTなど)の技術を借りながら文章をまとめていきます。
「品質」とは? を考えるとき、モノづくりの場で過ごしてきた私たちはISOの定義する「品質とは、対象が要求事項を満たす程度」つまり、製品やサービスが「顧客の期待」や「規格・法令」などの要求事項にどれだけ合致しているかが品質の本質としてきました。しかし、時代が進み、工業化による多量生産の中での顧客の求めるモノの均一性の保証から、高度工業化生産の中で、多様性の要求やモノに付随するサービスなどの期待と、モノからコトへの要求といった変化への対応まで求められています。従って、概ね以下の3章に分けて、進めていきます。
第1章:モノづくりの原点と品質管理の二つの潮流
1-1 職人的品質管理(良品追求の伝統)
o 熟練技能・感覚に頼る品質の世界
o 手仕事・少量生産における個別対応
1-2 戦後工業化と確率的品質管理
o 統計的品質管理(SQC)、QC七つ道具の誕生
o サンプル検査・管理限界線・バラツキ管理
1-3 ISO管理体制との融合
o ISO 9001の考え方
o 品質保証体系と現場改善の両立
まとめ:職人技と確率的品質管理は対立か、補完か?
第2章:グローバル化と品質保証の変化
2-1 国際規格・規制の多様化
o CEマーク、UL、RoHS、REACH など
o 輸出・委託生産と品質保証
2-2 顧客要求の多様化
o カスタマイズ、スピード、低コスト化の圧力
2-3 サプライチェーン品質管理
o 海外サプライヤーとの品質連携
o リコールリスクと情報公開
まとめ:品質は「現場」から「ネットワーク全体」へ
第3章:デジタル技術・AI時代の品質管理
3-1 デジタル化がもたらす見える化
o IoTによる工程監視
o データ駆動型品質管理
3-2 AI活用による予測・異常検知
o 不良予測、画像検査、自動判定
3-3 人とAIの役割分担
o 判断支援、技能継承、属人化排除
まとめ:人間中心のデジタル品質経営
まとめ
教科書的でなく出来る限り体験談を織り交ぜて書いていくつもりです。お楽しみに。